415 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/05(月) 12:47 ID:NIdoGFq.
私は、人が狭い専門分野におしこめられていく
(あるいは狭い世界に自閉することを自らよしとする)ことを、
あまりいいことだと思っていません。

もちろん私も、そうはいいながら、
木工職人が「これしか作れん」といって差し出した椀の曲線や手触り、
その見事さに驚愕して言葉を失ったことはあります。
専業農家だった私の祖父は、末期癌に罹って病院で死の床に就いているとき、
看護婦さんから「趣味はなんですか」と問われて、
「おいしい野菜や米を作ること」、と応えたような人でした。

416 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/05(月) 13:10 ID:NIdoGFq.
私たちは誰しもが、生まれた土地や時代、経済力や身体的な特徴など、
いろいろな条件の影響を受けています。

しかし、自分が狭い世界にいるということをはっきり自覚するのは、
容易なことではないと思います。
自分の損得や立場を客観視した上で判断を下すことは、さらに困難です。

戦場にいる人が、敵の人間性を推し量ることが困難なように、
そして万一、敵を一人の人間として認識してしまったとして、
実際に軍規に逆らう行動を起こすのは困難に過ぎる、というようにです。


417 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/05(月) 13:21 ID:NIdoGFq.
私はおそらく、人間が狭い世界にいること自体を嫌いなのではなく(それは避けられない)、
その狭い世界に自閉する自分を、無批判に正当化する人が嫌いなのだと思います。

戦場で人を撃つときにためらわない人が、
そしてためらいを、正当化という名の底の厚い靴で踏み潰す人が嫌いなのです。

どこでもそうでしょうが、
研究の世界にも、非生産的で幼稚な行動がいくつもみられました。
それとは別ですが、知っている教授の一人は、この前セクハラで大学を辞職しました。

みんな、嫌いです。

だから私は京レが嫌いです。


418 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/05(月) 14:49 ID:47JUDhQI
今日も1さん乙です。
なんだか今日は泣けてきました。特に>>417の「その狭い世界に自閉する自分を、無批判に
正当化する人が嫌いなのだと思います」「そのためらいを、正当かという名の底の厚い靴で
踏み潰す人が嫌いなのです」。
学部板で、今更のように被害者のせいにして今回の事件を軽く見せようとする人がこの土日に
現れて、愕然としていました。
日常では多分なんでもないような顔をして良い人のようにふるまったり、にこやかに人と話して
普通に過ごしている人が、悪魔のようになれる。
こんなことをして平気でいられる。
自分の魂を傷つけてるはずなのに。


419 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/06(火) 12:46 ID:Ly.eZDsM
>>418 こんにちは。1ですが。

そろそろ本題に戻さないととっちらかり過ぎてヤバいので、
軌道修正を図ります。
そもそも、人が一人で居るときの居方とはみたいな話だったんでした。
中教審のまとめはまだその地ならしとしても必要なので続けますが。

その前に、ひとつだけ寺山修司の短歌を。


マッチ擦る つかの間海に 霧ふかし
身捨つるほどの 祖国はありや


ニヒリズムではなく、個人への優しい眼差しとして。
カッコつけかたが昔風でダサいのですが、
構えなければこういうことが言いにくい世の中であるということは、
今も何ら変わらないですね。


420 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/07(水) 13:23 ID:GSUrFM/.
1ですが。

中教審、改定後の指導要領やその解説など、おもしろくもないのに色々見ました。
文自体がつまらないので、どうしても読み飛ばしにしかならなかったのですが、
第29回答申の理念というか、気合いみたいなものは、
直近の文書になるほど、失われてしまっていました。

第29回答申は言っていました。
たとえ経済的な意味での「効率」を幾らか損なうことになっても、
教育上の「効率」を高めよう、そして「個」を尊重し、
変化が激しく、先が読めない時代にあっても、
子どもたちに「生きる力」を教えていくことにしよう、
我々はそのように教育を変えていくのだと。

421 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/07(水) 21:29 ID:GSUrFM/.
中教審の勢いがトーンダウンした理由をずっと考えていたのですが。
最大の理由は、たぶんこれです。
バブル崩壊。

第29回答申は、1991年の前半に発表されました。
まさに、バブル崩壊前夜です。

当時の有効求人倍率は2倍強。
大学生は内定が取り放題に近い状態でした。

戦後史上、あくせくしなくても就職はできるという錯覚が、最も増大した時代。

経済的な「効率」より教育的な「効率」を優先しようとした中教審は、
皮肉なことに、後回しにしてよいと踏んだ経済の「効率」に
足を掬われたのです。

423 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/07(水) 22:43 ID:GSUrFM/.

ちょっと訂正が。
有効求人倍率が2倍強というのは違いました。
新卒大学生の求人倍率ですね。

有効求人倍率は、1991年1~3月期で約1.4倍。1.44倍だったか。
新規求人倍率とともに、バブル期の最高記録と聞いています。

そんな時期に、第29回答申は出されていたのです。

もっとも、景気後退のサインは1990年末くらいから出始めていたようですが、
本格的にこれはヤバいと誰もが意識したのは、1991年末から1992年あたりです。


424 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/07(水) 23:27 ID:GSUrFM/.
旧来の指導要領が裏プログラムのようにして進めてきた、
義務教育課程における国民全員の工場労働者としての適正化訓練、
あるいは高校・大学生のサラリーマン適正化訓練、
こうしたものは、高度成長の終焉とともに、過去の遺物に成り果てていました。

成長率の鈍化も大きかったのでしょうが、
人件費の高騰と機械化の進展に伴い、
第二次産業自体が、以前ほど人の頭数を必要としなくなったのです。

当時、子どもの数は増える一方でしたが、
雇用の中心は、必然的にサービス業に振り分けられるようになりました。

第一次産業が瀕死の状態にあることは顧みられず、
工業高校の偏差値が下がり、高専の存在意義が薄れ、
大学の理系学部も、「社会貢献」の美名の下に、金の掛かる基礎研究ではなく、
採算のとれる応用研究の方に、重点的に予算が投入されるようになりました。

425 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/07(水) 23:55 ID:GSUrFM/.
大学の独立行政法人化が平成16年。
これも、言ってしまえば、
国が旧来の大学を経済的に支えきれなくなった証拠だと思います。

去年ノーベル賞を受賞した益川さんなども、
受賞の場で国内の基礎研究の充実を訴えていましたが、
彼を受け入れるための名古屋大の施設は、先ごろ凍結が決まりました。
この国の知性を象徴する人物を、彼の意見ごと張り倒すような行為です。

そうまでしてでも、予算の削減をしなくてはならなかった国にも、
悲しみはあったと思いたいですが。
間違いなく、国にはもう、教育や研究に充分な予算を注ぎ込む余力がありません。

そしてそれは、
この国が確固とした理念に基づいた教育を行う余裕を失ってしまったことと同義です。


426 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/08(木) 13:02 ID:TLwluMhA
1ですが。

繰り返しを恐れず書くと、
中教審の教育改革は、
日本経済の発展を前提として組み上げられていたように思うのです。

社会には金が溢れている、就職先は豊富にある、
工場労働者はかつてほど必要でない、

そういう社会を前提として、ゆとり教育は出てきたのだと思います。

もっとゆとりのある学生時代を送っても、回り道をしても、
高い生活水準を得られる見通しがたつのなら、
それはその方が望ましいに決まっています。


427 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/08(木) 13:08 ID:TLwluMhA
おそらく、中教審にも、過去に対する後悔はあったのでしょう。

適性の有無にかかわらず、皆を等しく受験競争に追い込み、
判断力や批判精神に乏しいマシーンのような国民を大量に社会にばらまきながら、
気がつけばそうした国民の使い道を失っていたときの、申し開きのできない悔い。


428 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/08(木) 13:11 ID:TLwluMhA
まるで幼い頃に買ってもらえなかったおもちゃをわが子に買い与えるかのように、
そして一種の詫び状として、
ゆとり教育は、国民の未来へと手渡されようとしていたのだと思います。

429 名前:Classical名無しさん[sage] 投稿日:09/10/08(木) 13:19 ID:TLwluMhA
しかし、そうした憂いある父の破産が子を巻き込むようにして、
ゆとり教育の理念は急速に崇高さを失い、形骸化していきます。

詫び状は、空証文に成り果てました。