僕は神の使徒だった

この物語は完全なるフィクションであり、実在する人物・団体には一切関係ありません

【お肉壺】QB師匠の窪みを語るスレ【股間が竹の子】 6
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404 名前:ごさく" ◆.DoLbGgHq2 [sage] 投稿日:2009/09/15(火) 08:48:20 ID:QxeyweKZ
「僕は神の使徒だった」

河原卓也(仮名)45歳、元、システムエンジニア。


無精髭で脂肪だらけの顔をさらに強調するような脂ぎった双眸が、より醜悪な印象を深めてしまう。
水色のポロシャツは饅頭腹で膨れあがり、黒のジーンズの服装はいかにも若作りをしているような姿が嘲笑を誘う。
不思議が好きという申告の通り、スピリチュアルや宇宙の話といったセカイ系の話には聡いが、こちらの話を聞かず、会話のキャッチボールがまるで成立していないので、かなり内容を改変していることを付記する。

「僕は、神々の世界に旅立つ若人たちに正しい世界を見せる使命があったのに、何故このような事態に陥ってしまったのでしょうか……」

KK大学卒業後、システムエンジニアとして就職後、傍らでサイドビジネスとして新興宗教の使い走りに成り下がり、

以後、サイドビジネスに傾倒して、職を転々とするハメに。
彼のいう「布教活動」に奔走していたらしいが、
KK大学での暴行事件のセカンドレイプの総括していた首謀者として逮捕され、
その他もろもろの悪行も発覚して、
宗教から破門、会社先からも懲戒解雇。
刑務所から出たばかりで、未だにまともな職業につけていないそうだが、
本人はいかにして、神の導きによって人生を全うするかの話をするばかりで、まるで気にしていない様子。
このまま、誰一人として相手にされない人生を送って、無様な末路を遂げるのか。


「僕がこうなったのは、全て神の導きによるものなのでしょうか?
全てにおいて、神によって運命は翻弄されるものですから仕方ありませんよね。


こうなったのは僕がKK大学で暴行事件があったときに、率先して神の導きに従って身内を保護しようとした結果だからだそうです。
神の導きに従って行動した僕を、神はおろか、僕に従ってくれたKK大学の同志も助けてはくれませんでした。

これでも、僕はシステムエンジニアでキーボードを叩いていたり、スピリチュアルの講師をしていたりとスーツを着ていて仕事をしていたんですよ。
あなたとは訳が違うんです」


鼻息を荒くしながら、状況が許すならば嘔吐するような気色悪い話を好き勝手に展開している。

正直に言って近づくことすら躊躇してしまう相手であった。

「僕がKK大学を卒業してから、就職してそれから、ようやく救いが見え始めたのです。
そう、スピリチュアルという不思議を探求する同志と巡り会えて。
感動しましたよ。

いつも僕が、神の導きがいかに素晴らしいかを説いたところで、
周りには相手にされず、馬鹿にされて、警官の父親には毎日のように殴られていましたが、所詮理解しようとしないものは理解しようとしないことに、無駄だと分かったんですね。
この人たちなら、僕の主義が分かってくれると思い、与えられた仕事をそこそこに、宗教にのめり込むようになったんです。

その甲斐あって、一軒家をもつこともできましたし車だって手に入れることができたんです。

まぁ、副業が正業になっていったんです。ですが、神の使徒である僕に、現実主義者どもの罠が待ち構えていました。
僕はそれに引っかかって刑務所送りになりました」

それは何故かと掘り下げて質問する。

「ええ、KK大学にあった集団暴行事件がありましたね。
そこにいたKK大学の同志の集いで、
被害者は神の敵であるという導きに従って、同志を身を守るために各地に同志を展開させて、防衛に当たっていたのですが、あの時になってから、KK大学を目の敵にしている輩が増えましてね。
居心地が悪かったのはよく覚えています。
四年前の秋に、KK大学の集いでいかにして神の敵たちから身を守ろうと会議を開いているときに、警官たちがやってきましたね。
抵抗はしたのですが、適いませんでした。
あとは、警官たちに散々殴られながら取り調べを受けて、つまりは拷問に屈してしまったんですね。
私選弁護士を頼んで、金を積んだはいいのですが、懲役刑三年。
冗談ではなかったのです。
傍聴席には、僕の仲間なんか一人もいなくて、あとはスピリチュアルキチガイ死ねなんか野次をとばされたぐらいです。

判決後、刑務所にいってからは散々でした。
神に祈っても何も通用しませんでした」

「神の使徒である僕が、何故、キチガイだという差別用語を言われながら、ヤクザチンピラに絡まれないといけないのでしょうか。
毎日、たかりをやられてはまともにご飯を食べることは出来ませんでしたし、
ダルマみたいだと言われて何度も殴られました。
小便と大便だって、まともにさせてもらえずオムツが必要なくらいでしたから、最悪でした。


今度からは、現実主義者どもの罠に引っかからずに、
神の導きがどれだけ人々の救いになるのかどうかを教えを説くため、
また別の宗教団体への身を寄せようと画策しているところです。

前いたところからは破門、会社からは懲戒で首切られちゃいましたから……。
早くしないと、飢え死にしてしまいますから。

刑務所ではあんなにあったお金が、車が、家が、全て根こそぎ悪魔に奪われてしまいましたからね……。
あなたは天使でしょうか?悪魔でしょうか?

あなたもどうですか?
一緒にどうですか?
宗教団体に入れば全てが救われます。
迷える子羊に、救いを与えてはいかかでしょうか?
僕は負けません。

神の導きは万能、周りのものは無能……」


そう言う彼の目は、テロリストのような狂気を孕んでいた。
こちらがもういいですからといって取材料を渡しても、
しつこく食い下がって、離れようとはしない。

仕方がないので、警察を呼ぶぞと言う。
すると、奇声を発し諸手をあげながら「僕は神なんだぁあー!!」と突進してきたので、

咄嗟に横にかわして、彼の足首に右足引っ掛けて、アスファルトへと鈍重な体へと沈ませる。
この隙に、そそくさと立ち下がりにながら、警察へと通報して、携帯をポケットの中へと仕舞う。

後ろを見ると、狂者と化した男が罵声を吐き散らしている。

神の使徒があんなに醜いものなら、一人残らず世の中から消え去るがいい。

パトカーのサイレンの鳴る正義の音声を聞きながら、いかに気持ち悪いやつの思い出を払拭させるかを去りながら考えた。