橋の下に捨てられた営業マン
この作品はフィクションであり、実在する人物・団体には一切関係がありません
【お肉壺】QB師匠の窪みを語るｽﾚ【股間が竹の子】 5
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507 名前：ごさく" ◆.DoLbGgHq2 [sage] 投稿日：2009/09/04(金) 23:07:33 ID:N6EjPldC
福田則夫（仮名）２５歳、元、自動車メーカー営業マン。
髭無精の不潔な顔に無精髭を生やし、長い間クリーニングに出していないのか斑点模様のようにシミが付着した灰色のスーツを着崩したその姿は、酩酊したサラリーマンそのもの。
体もだいぶ痩せこけていて、片手には琥珀色のボトルを握って離そうとしない。
体全体からアルコールの臭いがプンプンするが意志疎通には問題はなかった。
社会復帰、実家に帰る意欲はまるでなく、このまま野垂れ死にした方がましだと頑なにそれを拒む。
「なぁあんた！これが飲まずにはやっていられるかってんだ！なんでKK大学にいたってだけで……。俺はなぁ、俺はなぁ……」
大学卒業後は、親戚が自動車メーカーの経営者をやっていたのを伝に、縁故採用で名古屋の営業所に就職。
しかし、KK大学が起こした性的暴行事件の件の二次強姦に関連した人物が前年の秋に大量に逮捕されたニュースの煽りで、
社内でのKK大学出身者を洗い出しが始まり、その際の面接で引っかかり「お前はいらない」の一言で解雇。
KK大学とは何の関係のないことを説明をしても、社長以下の役員には聞き入れてもらえず、元から営業成績が悪かったことが災いして、体よくあしらわれたと福田さんは語る。
「大学でうんと遊んでから、就職して結婚して、子供を育ててっていう人並みの幸せを手に入れたかったのに、なんでこんなことになったのか……って、毎日そう思うんです。
どう失敗したのかってね。
俺の大学、定員割れでもう廃校が決まるそうだけど俺にはもう関係がないもん。
毎日、公園に行ってボランティアの人たちが作ってくれた飯と、住宅街に捨ててある値打ちのあるもんを売って酒を飲む生活を何年も続けている俺にとっては。
これでも、俺はサラリーマンだったんだぜ？営業マン。それも自動車を売ってたんだぜ？
まぁ、成績はよくなかったけどよ……。
数年前までよぉ。お前と変わらなかったんだ。
そういや、人と話すのも久しぶりだな。
いつもは、ホームレスのじじいどもですら、会話する気にはなれねぇのに……。
まぁ、金がかかっているからか」
509 名前：ウホッ！いい名無し…[sage] 投稿日：2009/09/04(金) 23:33:05 ID:N6EjPldC
まだ若いのだから、日雇いの仕事をしてみてはどうかと質問するが、福田さんは金切り声をあげて酒瓶を振り回して拒絶する。これほどまでに、若い男性を痛めつけた原因は何だったのか、落ち着いた頃を見計らって再度質問する。
「会社を経営していた親戚にうまく取り入って縁故で、勤め始めての頃だよ。
あん時は、まだ俺も先輩にいびられながらも営業マンとしてそこかしこで、金持ちの家のセールスや家に来てくれと頼まれたところに足を運んで、売り込みをしていたんだ。
不景気の中で車を売るってのは本当に大変だと、先輩から耳にたこが出来るぐらい教え込まれた。
もう中身は覚えていないがな。
それでも、俺と先輩が担当していた成金の客がばーんと車を買ってくれた時は、
金一封とかの美味しい目にあったし、
上司の金で、キャバクラやソープランドをはしごした時期もあったなぁ。
あの頃が懐かしいぜ。
思ってみれば、あれが俺の人生の頂点でしたね。
調子にのった俺は、給料も少ないのにも関わらず、どんどんそういったものにのめり込んでいったんだ。
借金こそはしなかったけど、だらけ癖は抜けずに毎日遊び呆けていました。
あん時はこれからも、俺にとっての天国は続くんだと思っていたけど、
そこで例の俺の出身した大学の馬鹿どもがあの事件を起こしやがった。
強姦だけでも許せないのに、退学にもせずに大学ぐるみで隠蔽したそうじゃないか。
あいつらは疫病神だよ。
夢の中でも、あいつらのにやけ面が浮かんでは何度もメッタ刺しにしてやるんだ。
とにかく、あいつらのせいで地獄に落とされたんだ。
二次強姦……ってやつだったかな？
あれ、一時的に忘れられた事件だったけど、正直に「まだ終わっていなかったのか」ってビックリしたよ。
あの事件のせいで、KK大学出身者はボコボコにしてやるとか、しょっちゅう会社の連中が言っていたからな。
怖がった。もしバレたら間違いなく嫌がらせを受けると、ビクビクしていたよ。
そういや、うちの会社にもKK大学の馬鹿が面接受けにいったんだけど、結果は歴然としているよな？
それがまた話題になった。
さすがに会社も我慢できないといった感じで、KK大学のみ吊し上げが行われたんだ」
「言っておくけど、俺はKK大学の出身者ってだけで何の関係もないんだ。
むしろ、そんなこと言ったらひどく差別されるんだ。
身を持って味あわされた経験者だから、これだけは自信をもって言える。
さっきの話に戻るけど、体のいいリストラだったんだな。あれは。
不景気だし。今もだけど。
他にもKK大学の出身者の社員って結構いたんだけど、俺を含んで７、８割方クビを切られたそうだよ。
派遣切りなんかするぐらいだから、次は正社員ってあの時に気づくべきだったんだよな。
あいつらは派遣社員、俺は正社員だから、って安心していたんだ。
親戚？守ってくれませんでしたよ。
ええ。
営業成績の悪い営業マンはいらないとか、KK大学はダメだなんて、好き勝手言われたよ。
結局は使い捨てなんだよ。会社員って。
まぁ、車を売らずに正直さぼってたんだけど。
もちろん後に、若さと営業マンの経験を行かして再就職を目指したよ。
でも、全部ダメだった。
だってさ、行くところ全てがKK大学についてどう思うかって質問してくるんだぜ？
当たり障りのない答えで返しても、KK大学出身者でその言葉は信じられない。嘘をつくなアホ！って怒鳴られるんだ。
もうね。KK大学ってだけでここまで差別されるとか、怒りどころか呆れてくるよ。
全てが馬鹿らしくなってきて、今じゃこんな生活だ。
バイトをする気にもならないし、つか、バイトでもダメなんだ。KK大学というだけで。
実家に帰る気にもならない。うん。
こんな中途半端なやつが家に帰ったところで迷惑をかけたくないしな。
居心地がいいんだ。何も考えず、KK大学のことを悪くいうやつが一人もいないしね。
……もう、廃校になるそうだけど、目の前にあんたじゃなく、神様がいたとしたら最後に望むことは一つだけあるんだ。
大学の選びところからやり直しをさせてくださいって土下座したい。
それが叶わなかったら……？多分道端でくだばって、無縁墓地送りになるんじゃないかな？」
福田さんは涙目になりながら、酒を煽るものの、だからといってアルコールでは現状を打破する力にはなり得ない。
福田さんに取材料を手渡しをすると、何度もありがとうと言ってくれた。
「KK大学でなければ……」
珍しくKK大学関係者の人物に対して、同情的な心境に至ったごさくだった。
