私の子供はKK大学
この作品はフィクションであり、実在する人物・団体には一切関係がありません


【お肉壺】QB師匠の窪みを語るスレ【股間が竹の子】 6
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36 名前:ごさく" ◆.DoLbGgHq2 [sage] 投稿日:2009/09/11(金) 01:13:45 ID:sj+CVccC


小野茂道(仮名)57歳、ゼネコン大手メーカー部長。

ポロシャツに臙脂色のネクタイ、茶色のスーツといった出で立ちに、上品そうな顔だちはいかにも老紳士、会社の幹部といった様子で、物腰も年相応の穏やかさを感じられる。
しかし、本人の弁によると自分の子供が暴行事件に関与する犯罪行為に手を染めたことにより、家庭内は崩壊寸前らしい。
それによるストレスで胃炎が出来てしまい、仕事にも支障が出ているらしく、インタビューする前は、通院した帰りだと答える。

「馬鹿な娘を持ったものです。今まで話せなかったことが、今ようやく話せて肩の荷が降りたかのように思えます。
身内の恥でまさかこんな災難に巻き込まれるとは……」

株式市場に名の刻む大手ゼネコンメーカーに入社後、順調に出世しながら、妻と息子と娘の四人家庭を持ち、マイホームもローンで買えたと本人は語るが、
その一方で、KK大学で教師志望であった娘の同大学の同級生が起こした暴行事件に関与があったとして、逮捕されたところから、歯車が狂ったそうだ。
早期退職して、穏やかな暮らしを再び取り戻したいと熱く語る。


「今、置かれている状況は最悪というべきです。
犯罪者なんていうのは、テレビの向こうの世界や新聞と同じで対岸の火事と思っていましたが、いざ自分の子供が犯罪者になってしまった……だなんて、情けなくて仕様がないです。

子供ですか……?息子と娘がいますが、事を起こしたのはKK大学に入っていた娘です。
あの時に、娘を刑務所なりに無理矢理でも入れさせて、更生をしていれば今頃はどんなに非難されていた時期も昔の話になっていたんでしょうが、気がつけば全てが手遅れになっていました。

あの時というのはもちろん、馬鹿娘と同じような頭をしたKK大学の同級生たちが居酒屋で暴行事件を起こし、
馬鹿娘も片棒を担いでいた二次強姦事件の時に逮捕された時のことです。

娘の行っている大学でこんな!?って驚き、当初は「おい、大丈夫なのか」と聞いても娘は「あいつらと一緒にしないでよ」と怒り返していましたが、
まさか、あの時に連中の犯罪に荷担していたなんて夢にも思いませんでしたが、嫌な予感だけはしていたんです。
何しろ、KK大学の学長は「教育的配慮」と連呼して、私たち同世代の同僚を絶句させるくらいの低レベルな男だと知ったときは特にそう思いました」

「あれ以来から、KK大学出身者は二度と採用しない!!という会議にも参加したぐらいでしたから、
社内でもその怒り猛りようが理解できるものです。

そんな中で、私の娘がKK大学出身者と言えるはずがないんです。
もし、そう失言してしまったら、退職金をもらうことなくクビ切りという最悪のパターンも考えられましたから。
私だって、人事を担当する部署にいるのならばKK大学出身者は絶対に採用することはありません」


言いながら、小野さんは外見に似つかわしくないような怒りを露わにするものの、どことなく不自然な印象を受けるようなぎこちなさがあった。
今言っていることは、娘がKK大学出身者であることを否定している。
矛盾しているからだとごさくは思った。


「あの時はそう思っていました。
だからこそ、あの時に娘には今いる大学からは早く手を切って転学しようって、何度も行っていたのですが、聞き入れてもらえませんでした。

それ止まりならまだまし…というのも何ですが、逆に被害者を侮辱する犯罪行為で警察に連行されていっただなんて、青天の霹靂ですよ。

……被害者さんに申し訳なかった。

秋頃のことです。
あの事件のほとぼりは冷め、KK大学の事件もあまり話題にならなくなり、ようやく仕事が終わり真っ直ぐ家に帰って、風呂に入ろうかと思った矢先に、
途中、家の前でパトカーが止まっていて、何かなと思って様子を覗いてみたら……。婦警二人の合間に娘の腕が手錠で繋がれていたんです。

何かの間違いだろう!!と頭の中でいつもこの言葉が何度も思い浮かべては消えるんです。
うちの娘が、何故と。
警官に掴みかかりましたね。
何故、うちの娘がこんな目に遭わされるんだと、冷静さを失っていました。

慌てふためいていた私は、結局娘とは別のパトカーに乗って同行して、
警察署に行って、話によるとドラマで見るような刑事姿の格好をした年配の男が淡々と事務的に話していた内容はいつまでも覚えていますよ。

娘がKK大学で起こった準強姦事件の関与、犯罪幇助していた疑いがあること、そして何よりもネットで二次強姦を組織的に動いていた疑いがあること。
罪状は「名誉毀損罪」「侮辱罪」

……信じられませんでした。
大人しいうちの娘が寄りにもよって、卑劣な犯罪を犯していただなんて。

当時の絶望感をフラッシュバックしてしまったのか、額に冷や汗が浮き出て、目尻に涙さえため込めそうなくらい情けない顔つきになってしまう。

「目の前に渡された資料、全てが今すぐに飲み込めるような内容じゃありませんでした。
特にひどかったのは、被害者は痴女、加害者は悪くない。無罪だという内容でした。
うちの娘が強姦にあって、こんな誹謗中傷にあったらとてもじゃないですが生きていけません。
それを逆に、そうするだなんて……。

人並みの倫理観を持っているものだと信じていたのです。
娘と会話していて、全くそんな反社会的な行為を感じられるそぶりは全くなかったんですから。
今では、子供を見る目がなかったとずっと後悔しています。

嫌疑不十分で、釈放された時にごめんなさいごめんなさい泣き叫ぶ娘の姿を見て、
一発殴ってやろうかと思いましたが……。不思議とそんな気にはなれなかったんです。
何故ならもう、娘を愛してもいなかった父親がどんなことを言っても、この子には通用しないだろうと思ってしまったからです。

特に娘が二次強姦をしていた、だなんて資料を見せられてしまっては、もう普通の親子ではいられない。
私の中のどこかが壊れる音がしました。

それからは、滅茶苦茶でした。

あれからすぐに、新聞にも乗りKK大学は犯罪者集団だなんて見出しに書かれましてね。
近所には白い目を向けられるし、私の家もしばらくは電話が鳴り止むことがありませんでした。

そのせいで妻はノイローゼになるし、入院はするし、社会人をやっていた息子は、うるさい家にはいられないと社宅に住んでしまうし、娘は身の回りのもの全て包んで蒸発してしまったんです。

私自身も胃炎を患いましてね……。
この二年間ずっと、病院通いです。

社内でも休みがちな私を疎ましく思っているようで、さっさと辞めてくれと遠回しで言っているように早期退職の願いを出すよう社長からしつこく言われるようになりました。
まぁ、近いうちにそれに乗るつもりですが。
……私は何をしていたんだろうとずっと思っています。
ふと、誰も居なくなった家の娘の部屋を開けるときがあるんです。

家具がある他に何もないんです。
……私の人生を象徴しているようでした」

言い終えてすっきりしたのか、小野さんは先ほどより元気のある表情を見せてはいるものの、温和そうな瞳の奥は深い悲しみと絶望が渦巻いていた。