田原木少年愚連隊

この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、場所、事件は一切、関係ごさいません。


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雑談系2 [ガチホモ] “【お肉壺】QB師匠の窪みを語るスレ【股間が竹の子】 3”
437 名前:いらちなきのこ[] 投稿日:2009/08/14(金) 03:14:34 ID:89YQUEbz


急速に闇が迫って来た。
逢魔が時。
あの世とこの世の境界があいまいになる時間。
本当だろうか。健司は思う。
つい二、三年前まで不可思議なものは恐怖でしかなかった。
しかし、小学六年生にもなれば、そんなのある筈がないという反発心とどんなものだろうという好奇心が先立つ。
空を覆い始める闇と地上近くに僅かに残る明るさ、その境目に何かあるんだろうか。
「本当に来るかな。」
沈黙を嫌ったのか、隣の寛人が口を開く。
「来るよ、きっと。」
答えた健司も何か根拠があって言っている訳ではない。
分かっているのはヤツが健司達が潜んでいる物陰から少し離れたローソンに毎日現れることだけ。
「そうや、生徒が見舞いに来てるんやし。」
孝昭がいつものように茶化す。
僕等の担任じゃない。
いや、受け持ちの学年も違う。
大体、見舞いにカバンの中のブツを持っていくなんて聞いたこともない。
健司が突っ込みを入れようとした瞬間、坂の上の竹薮の向こうから現れる人影。
健司の沈黙に気付いた二人も人影を凝視する。
大人の男。背は高くない。顔は…薄暗い坂を下ってくる人影に眼を凝らす。
ヤツだ。二ヶ月会ってないけど間違いない。
久呆先生、いや、レイプマン教授がこちらに向かって歩いてくる。
「来た。」
寛人の言葉を合図に三人は物陰に隠れカバンを開ける。
そうだ、僕等はこの為にここに来たんだ。

緩く右にカーブした農道を下ると視界が開け、お馴染みのローソンの看板が見えてくる。
久呆彰浩がこの時間にローソンへ向かっていたのは全くの偶然である。
買い置きしてた煙草を切らしていた、それだけのことである。
日が短くなった。
彰浩は思う。
今の生活が始まった二ヶ月前はまだ明るかった。
学生の頃はそんなことなど、気にもしなかったのに。
そう思いながら彰浩はローソンへ向かう。

三人はカバンから手袋を取り出し、それぞれがはめた。
そして、孝昭が何重にも重ねたビニール袋を取り出した。
「そろっと出せよ。」
健司が声を掛ける。
「分かってるって。」
孝昭がビニール袋の中身を地面に置いた。
臭い。全部で三個ある。
レトリバーを飼っている寛人の家から持って来たより選りのブツ。
「表面は完全に乾いているね。」
寛人の問いに、
「でも中身は…」
孝昭が笑う。
「表面はこんがりウェルダン、中身はジュシーなレア。」
健司が呟く。
「何それ。」
二人の問いに、
「こんな状態のヤツのこと、レアとかは肉の焼き方だって。」
健司は歳の離れた兄のような叔父から聞いたことを説明する。
そういうブツが一番威力があることは健司達も経験で知っている。
「ほいっ。」
箱から取り出した爆竹と使い捨てライターを二人に渡す。
爆竹は二本の爆竹の二つの導火線を一つに依り合わせている。
本当は一つで充分なのだが不発対策で家で作ってきたのだ。
爆竹一束をブツに挿せば確実に爆発するが爆竹の威力が大き過ぎて、肝心のブツが爆散してしまう、これも三人は経験で知っている。
三人は互いに見合わせてブツに爆竹を挿す。
直前まで挿さなかったのは火薬が湿るの防ぐ為。
失敗は許されない。
レイプマン教授が近付いてくる。
三人はその時を待った。
もう臭さは気にならない。
彰浩は坂を下りきって左に曲がりローソンに向かう。
ローソンの駐車場の手前で立ち止まりサングラスを取り出した。
辺りはもう暗い。
これからはもっと暗くなる。
夜が長くなる。
今みたいな生活がこれからも続くんだろうか。

レイプマン教授が物陰に近付き、背を向けて離れてゆく。
そして、ローソンの駐車場の手前で立ち止まる。
「行こう。」
脚が一番速いからとカバンを背負った健司が二人に声を掛ける。
三人は導火線に火を点け、物陰から飛び出した。

サングラスをかけた彰浩は、人の気配を感じ振り返った。
影。疾る三つの影。
子供か。こちらに駆け寄ってくる。

三人が駆け出すとレイプマン教授はこちらに振り向いた。
気付かれた。構わない。 そのまま小走りで駆け寄る。
打ち合わせ通りにレイプマン教授を囲むようにブツを置き、全力で駆け出す。
逃げろ。この場から離れなきゃいけない。

子供が脇を摺り抜けて、走っていった。
足元に何か落とした。
サングラスでよく見えない。
前屈みになって確認しようとしたその時、彰浩の周りで次々と爆発音が響いた。

後ろで爆竹の炸裂音が次々と鳴り、レイプマン教授の叫び声が聞こえた。
でも立ち止まらない。
走る。全力で走る。
二人はついてきているのか。
自販機の角を左に曲がる。更に最初の路地を曲がったところで脚を止める。
孝昭、続いて寛人が飛び込んで来る。
三人とも息を切らして路地を奥へ進んで行く。
路地の奥の角でレイプマン教授の方へ携帯をかざしている少年がいる。
「大成功だよ。」
稔が顔だけをこちらに向けてくる。
稔は脚が遅い。
でも、いつも一緒に遊んでいるのに連れて行かない訳にもいかず、離れた所から携帯のムービーで
記録してもらうことにしたのだ。
三人が壁から顔を出す。
レイプマン教授が茫然と立ちすくんでいた。

彰宏は何が起きたのか分からなかった。
突然の爆発音。
身体中に何かが飛んできた。
爆竹。火薬の匂いで彰浩は気付いた。
じゃあ、身体中に纏わり付く、この茶色い粘つき物体は…
うんこ爆弾。
彰浩も子供の頃に経験がある。
犬の糞を爆竹で爆発させる遊び。
やったのは…多分、彰浩の職場、いや元職場になるのだろうか、あそこの悪餓鬼共だ。
学校。警察。彰浩の頭の中をよぎる。
無理だ。彰浩は自分でもよく分からない病気で仕事を休んでいる。
自宅療養中の人間がこんなとこに出歩くだろうか。幽霊。そうだ、ここにはいる筈のない人間。
考えてみれば明るいうちは自室に篭り、夜になると外に出て行くのだから今の生活は幽霊のそれと何が違うのだ。
とりあえず家に帰ろう。
踵を返し歩き出すと失禁してることに気付く。
泣きたくなった。

レイプマン教授がふらふらと帰ってゆくのを四人は黙って見ていた。
「レイプマン教授、うんこまみれ。」
稔が三人に向かって言った。
ようやく息の整った三人が口々に
「レイプマン教授、うんこまみれ。」
笑いが込み上げてくる。
その台詞を口にする度、笑いが大きくなる。

「健司、塾休んで大丈夫なん。」
駅への道で寛人が尋ねる。「バレへんよ。」
と答えるがバレない訳がない。
母ちゃん、また怒るやろな。
口癖の勉強せんと乗馬クラブにも行かさん、試合も出さへんて言うやろ。
でも、試合は当分ないしな。
それに乗馬クラブ行かさ ん言うたら父ちゃん、いや、叔父と叔父の友達に泣き付こかな。
あの二人、馬乗る時とこんな時しか頼りにならんけど。
まだ夏休みや、明日は何して遊ぼうかな。