あほひとり

この作品はフィクションであり、実在する人物・団体には一切関係がありません


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238 名前:お伽草子 ◆NhDiiXmp8. [sage] 投稿日:2009/10/04(日) 21:58:26 ID:GmAx7IED



ある日のことです。
オムオムはいつものように踏切から帰ると、PCを立ち上げAV女優のブログを開きました。
「おっ!新しくなってるぞ、どれどれ、ふむふむ、おぉ、そうかそうか、なるほど。いや~、ゆかりちゃんはいつもカワイイな~、どれ、コメントを書くとするか」
オムオムは新しいブログのコメントを書くために、まず他の人が書いたコメントを読み始めました。
「ふむふむ、なんだ、コレじゃダメだな。こんなんじゃ、ゆかりちゃんに振り向いて貰えないわな。こういうのは、まずエロスを下敷きにしてだな、所々にインテリジェンスの香りを振り掛けて…と、あとはロマンだな。ロマンといえばアフリカか。ウヒヒ」
こうしてオムオムはコメントを書き(※1)送信しました。
オムオムが女優の写真を画面いっぱいに拡大し、妄想に耽っていると、戸を叩く音がします。
「誰だい、せっかくのお楽しみを邪魔しやがって」
オムオムが扉を開けると、一人の女性が立っていました。
「おっ、デリヘルかい?今日は頼んでないけどなー、でもいいや、俺はどちらかというと熟女が好みなんだ。さぁ、入ってくれ」
オムオムが女性を招き入れると、女性は部屋に入って来ました。
「で、今日はどんなシチュエーションで行きますかな?ウヒヒ」
とオムオムが揉み手をしながら尋ねると、女性は毅然として答えました。
「私はデリヘル嬢ではありません。今日はお願いがあって参りました。私は女神なのですが、今病気で困っています。病気を治すには青い鳥が必要です。あなたに見つけて欲しいのです」
「なに、あんた何言ってんの?場所を間違ってんじゃないの?ここは栗尾荘2号室だけど」
「そうです。私はオムオムさんにお願いに来ました」
「だいたいさー、女神でも病気になるもんなの?」
「当たり前です。しかしタダとは言いません。青い鳥を見つけてくれたら、お望みのものを差し上げましょう。例えば、これはどうでしょう」
そう言うと、女神様は指をパチンと鳴らしました。するとPCの画面から女優が抜け出て、女神の横に現れました。
「ゆ、ゆかりちゃん!やります!いえ、やらせて下さい!お願いします!」
オムオムは大変な意気込みです。
「そうですか。それではお願いします」
「青い鳥を見つければいいんですね。分かりやした。角のペットショップで売っていたから、ひとっ走り行って、買ってきやす」
「待ちなさい。青い鳥なら何でも良いのではありません。私が欲しいのはインディゴな青い鳥なのです」
「インディゴねぇ、どうやって見つければいいんだろう」
「ご心配なく。いいものを差し上げましょう」
そう言うと女神は一枚のハーフパンツを取り出しました。股のところに金の球が付いています。
「これは魔法のハーフパンツです。その金の球を回すと、行き先を照らしますから、その光に沿って行けば良いのです」
魔法のハーフパンツに穿き替えたオムオムは、股間にぶら下がった金の球を握ると、クルリと回しました。すると、球から一筋の光が現れ、行き先を照らしました。
「さぁ、この光の指す方向に進めば良いのです」
「いやぁ、これは懐中電灯にもなりますな。それじゃ、行って来ます。ゆかりちゃん、待っててね」
オムオムは魔法のハーフパンツが示す光を頼りに出発しました。

※1:LRによりエロ禁止なので、内容は掲載できません

オムオムが光の示す方に向かって歩いていると、看板が見えました。

┏━━━━━━━┓
┃ 思い出の国    ┃
┗━━━━━━━┛

オムオムが看板の陰から覗くと、若い頃のオムオムのお父さんがいます。
「あっ、父ちゃんだ!」
オムオムは、思わず駆け寄りそうになりました。その時、もう一人別の人物がお父さんに近付きました。よく見ると、幼い頃のオムオムで、泣いています。
「父ちゃん、おいら、またいじめられたよー、いじめっ子をやっつけてくれよー」
「放っといたらいい、そのうちやめるから」
「父ちゃんは警察官だろー」
「そんな事して、加害者が自殺したらどうすんだ。我慢しろ」
そう言われれと、幼い頃のオムオムは、また泣きながら走り去ってしまいました。
オムオムは忘れていた昔の嫌な記憶が蘇り、思わず走り出していました。

どのくらい走ったのでしょう。気がつくと、オムオムは森の中にいました。あたりはもう暗くなっています。
オムオムはまた股間の金の球を握り、クルリと回しました。すると、また球は光って方向を示したので、オムオムはそれに従って歩き始めました。
ピピピピ
鳥の鳴き声が聞こえ、オムオムが見ると、鳥が一羽飛んでいます。インディゴブルーのようです。
「見つけたぞー!まてー!」
オムオムは全力で追い掛けました。
青い鳥を追って行くと、大きなお屋敷がありました。また看板が立っています。

┏━━━━━━┓
┃ 夜の御殿    ┃
┗━━━━━━┛

青い鳥は、そのお屋敷に向かって飛び、その中に入ってしまいました。
「こうなったら、袋のネズミよ。よし、あのお屋敷で捕まえるとしよう」
オムオムは、夜の御殿の扉を叩きました。

「ごめんください」
オムオムが声を掛けると、中から女の人が現れました。
「どなたですか?」
「はい、私はオムオムと申しますが、鳥がこちらに逃げ込みまして、探させて欲しいのです」
「私が夜の女王と知って、言っているのですか?まぁ、よろしい、探しかかったら勝手に探しなさい。ただし、飼っているペットを逃がしてはなりません」
「ありがとうございます」
オムオムは、大喜びで家の中に入りました。

オムオムはまず二階から探すことにしました。
「ゆかりちゃん、待っててね。もうすぐ逢えるからねー」
女優で頭がいっぱいのオムオムは、階段を昇ってすぐの部屋をいきなり開けました。
「キャー!男よ!男よ!」
「逃がさないわ!」
次々と女が寄って来て、オムオムを取り囲みました。への字口の女、緑チュニックの女、黒い啄木鳥みたいな顔の女など、大勢いますが、どれも不細工です。
「ひぇ~、化け物だ」
腰を抜かしそうになりながら、オムオムは一目散に逃げ、慌てて扉を閉めました。
「あんなのが外に出たら、大変だった」
オムオムが部屋の上を見ると「嫉妬の部屋」と書いてあります。
ヨレヨレになって次の部屋を開けると、人相の悪い坊主頭の男、カエル顔の男、八重歯の老け顔の男達がいました。
「やあ、いらっしゃい」
なかなか愛想は良さそうです。
オムオムはホッとして、部屋の中に入りました。
「いやぁ、お客さんは久しぶりだなぁ」
「そうそう、退屈してたんですよ」
「君たち、青い鳥を見なかったかな?」
「青い鳥、そんなのどうでもいいじゃないですか」
「そうですよ。それより、ここから出してくれないかな?」
「いや、それは…」
オムオムが渋っていると、男たちは次第にオムオムににじり寄って来ます。オムオムは胸騒ぎがしました。
「何も問題ありませんよ」
「そうですよ。迷惑は掛けませんから」
「あ~いや~、青い鳥がいないようだから」
そう言うと、オムオムは脱兎の如く部屋から飛び出し、扉を閉めました。部屋の上には「嘘つきの部屋」と書いてあります。
「いやいや、ろくな部屋がないな」
残りの部屋には「権力欲の部屋」「TVに出たがりの部屋」などあり、ここからは美味しそうなパンの匂いがします。
二つの部屋で懲りたオムオムが、次の部屋に入るのを躊躇していると、夜の女王が業を煮やしてやって来ました。
「いったい、いつまで掛かっているんですか。早く帰ってください」
「そんなこと言わないでくださいよ、夜の女王様。私には病気の母がいるのです。青い鳥がいないと、病気が治らないのです」
夜の女王は、オムオムをギロッと睨み
「そんなことを言うと、あなたもここに入れますよ」
と言い、嘘つきの部屋を指差しました。
「それに青い鳥は、もういません。さっき窓から逃げました」
「そんなぁ~」
オムオムはガッカリして、夜の御殿を後にしました。

オムオムはクタクタになりながら、それでも諦めずに青い鳥を探し続けました。
「ゆかりちゃん、ゆかりちゃん」
頭の中は女優とのいちゃいちゃでいっぱいです。光に導かれて来たのは

┏━━━━━━┓
┃ 未来の国    ┃
┗━━━━━━┛

でした。
未来の国には、高い塀に囲まれた建物があり、オムオムはその建物の中に入りました。
建物の中は狭い上に何もなく、殺風景な部屋です。
その部屋の中に、青い鳥がいるのを見つけたオムオムは、急いで捕まえ、ポケットに突っ込みました。
「やったぞ!」
オムオムは大喜びです。
「これで、ゆかりちゃんとデートが出来るぜ!」
感激に浸っていると、何だか足元が崩れ始めました。
「おっと、あぶない」
オムオムは慌てて部屋から出ると、栗尾荘に戻りました。

「やりましたぜ!」
オムオムは部屋に入ると、ポケットから鳥を出し、女神様に渡しました。
ところが、どうしたことでしょう。青いはずの鳥が白くなっています。
「おぉ、これではダメですね」
女神様は冷たく言いました。
「もう一度、もう一度やらせてください!」
オムオムは必死です。
「いいえ、その必要はありません」
「そ、それでは女神様の病気が…」
「ホッホッホッ」
女神様は愉快そうに笑います。
「青い鳥なら、さっきゆかりちゃんが見つけてくれました。おかげで、私はすっかり元気になりましたよ。さあ、ゆかりちゃん、一緒に帰りましょう」
そう言うと、女神様は青い鳥の入った鳥籠を抱え、女優と一緒に部屋から出てしまい、部屋にはオムオムと、女優が抜けた背景だけが映ったPCが残りました。
「ゆかりちゃーん、ゆかりちゃーん」
オムオムの哀しげな声だけが、こだましていました。

「うーん、むにゃむにゃ、ゆかりちゃん」
オムオムが目を覚ますと、夕闇に包まれた部屋には、誰もいません。PCの写真には、女優がにこやかに笑いかけています。
「夢だったのか…」
オムオムはボーッとして写真を見詰めながら、ハーフパンツの金の球を握り締めました。


エンディングテーマ曲

ようこそここへ クッククック
プリズン塀のなか
悪いこと した人が 入ります
リストラされて クッククック
女房に逃げられて
誰よりも 情けなさ 感じます

どうぞ行かないで このままずっと
あなたはこの場所で 幸せ探していてね
クッククック クッククック 塀のなか

注1:作品とテーマ曲は、関係ありません
注2:クッククックは笑うように歌って下さい

おしまい