すっぱい葡萄

この物語は完全なるフィクションであり、実在する人物・団体には一切関係ありません


149 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/12/13(日) 13:38:47 ID:96az8fwT

最初にそのニュースを目にした時には「近頃の若いもんは・・・」と、ただそれだけだったはずであった。
そこに違う感情が入り込んできたのは、学長のしどろもどろの会見を見たときだったか
巨大掲示板で、犯人の関係者らしき人の被害者を激しく罵る書き込みを見たときか。

その彼女がこのニュースに異様な執着心を見せていた。
元来、お洒落とも男性とも縁がなく声を掛けられることもない青春を過ごした。
同年代の少女達が、異性と笑い会っているのを見ても「浮ついてみっともない」と見下していた。
いや、そうしなければ己の自尊心が保てなかったのであろう。
ただ、本人はそういったものたちを心底軽蔑しているのだと思い込んでいた。
そういった、彼女にとってこのニュースの女性は慈しむものではなく憎悪の対象となりえた。
誰かの揶揄でのイケメンという書き込みに激しく反応をしてしまったのも大きな一因かも知れない。
複数の男性にチヤホヤされたのに裏切った女性という構図が、彼女の中で完成してしまったのである。

そもそも初めは、大学に関して批判的なことを書き込んでみた。
だが、それに対して得られるのはお座成りな賛同程度のものでしかなかった
自身への注目度の低さに失望してしまっていた。
それに反して加害者を擁護するような書き込みには多くの反論が付いていた。
そのレスポンスの多さには羨望すら感じてしまっていた。
現実社会では、あまり他人から関心を得られない孤独な女の歪な心はセカンド・レイプと言われる
書き込み内容こそが真実だと思い込んでしまったのだ。

本来、思い込みが激しく狭量で、粘着質。己の非を決して認めることのない彼女は
一旦、黒を白と言い切ってしまえば、たとえ途中で己の罪過に気付こうと詭弁を弄し
やがて、その詭弁が真実であると思い込める得な性格をしている。
傍から見れば、嘘を糊塗しているに過ぎないものだが、本人には周囲に真実を知らせる役目があると
思い込んでいるのかもしれない。
厄介な性質には変わりあるまい。

その彼女が次に思いついたものがコピペであった。
これならば事態をよく把握していなくても参加できる。

やってみると、これまでとは桁違いの反応が返ってくる。
すっかり気をよくしてこの行為に没頭していくのであった。
ただ、彼女は気付いていなかった。
元の文を書いた者のレベルの低さに。
誤字脱字は当たり前。怪しい文法と矛盾した言い分。
それに気付かない程度には彼女自身も底が浅かった。
反論はすべて相手にされていると言う満足感に取って代わる。

また、他人の欠点をあげつらうのが趣味ともいえるのにも関わらず、己の深淵を覗き込むこともなく
自身の境遇の不満や孤独を他者への攻撃と言う解決ともいえない手法しか持たない。
そんな彼女は、得られる反応をすべて自身への賞賛にす摩り替えてしまえるのである。

そののち、彼女は己が若き日のやるせない思いと若い全女性への恨みを込めて己の作り上げた物語を
展開し始めるのであった。
以前にも増した矛盾や不整合の指摘や嘲笑や反駁でさえも、相手にしてもらえているという充実感の妨げにはならなかった。
自身の願望を摩り替えていることにも気付かず来る日も来る日も、気紛れな猫しかいない
ただ一人きりの部屋で現実には返事の返ってこない相手に向かっている。



ぶどうは甘いにゃ

151 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/12/13(日) 13:49:42 ID:96az8fwT


ご主人さまはイラついてたにゃ
朝食のパンにブルーベリージャムを塗るかイチゴジャムを迷って
迷ってしまった自分にさらに腹を立ててたにゃ
へんなご主人さまだにゃ~
まあ、ご主人さまがイラ立っているのはいつものことだけどにゃ
にゃんだか、いろんにゃことにイラつくんにゃ
ご主人さま、どんなにイラだっていてもいいから、にゃ~たちの朝ごはん忘れないでくれにゃ

ご主人さまはいつも「ぱそこん」という箱で「ねっと」をやって
「すとれす」を発散させるんだそうにゃ
いつも顔をまっかにして「かきこみ」をしてるにゃ
たまにしばらく、「かきこみ」ができにゃいとなんだか怖いんにゃ

そんなに「すとれす」というのがいやにゃら、仲間とお話すればいいのにゃ~
・・・ご主人さまは「仲間」がいないみたいにゃ
にゃーたちは、外で仲間と走り回ったり遊んだり喧嘩したりしてるんにゃけど
ご主人さまはいつも一人っきりにゃ
さびしくないのかにゃぁ・・・「ぱそこん」があれば淋しくにゃのかにゃ~

ここんところしばらくは、新しいオモチャを見つけたようで生き生きしてるにゃ
ただにゃぁ・・・時々呟いている言葉を聞くとなんだかこわくなるにゃ
「ババア呼ばわりするなんて」
「ネンチャクとかw」
とか、わからないことばがいっぱいにゃのにゃ

若いおにゃのこが嫌いにゃ
大変な目にあった事件があると嬉々としてかきこんでいるにゃ
まちで「なんぱ」されたり、電車で「ちかん」あったりというにょは
たいていおにゃのこの「うそ」にゃんだっていうんにゃ
そういうにょは、おにゃのこが自分からさそったっていうんにゃ
そ~かにゃ~?
ご主人さまは自分から誘わないから「一切、そういうことはない」らしいにゃ
そんなに妬ましそうに言ってにゃいで
ご主人さまも誘えばいいにょに

にゃんでそんにゃにおにゃのこが憎いんにゃ?
にゃ~はおにゃのこはすきにゃ
いいにおがするにゃ
なでてもらうとぽかぽかするにゃ
にゃんだかにゃ~、
人間の考えることはよくわからにゃいにゃ

「ぱそこん」には、ご主人さまの仲間がいるらしいんにゃ
そういえば「ぱそこん」にむかってわらったり話しかけてるにゃあ
うれしそうに「めしうま」といって書き込んでいるご主人さまは凄い迫力にゃ
怖くてそばに寄れないにょ
多分、自分でもにゃにをやっているにょか分からにゃくにゃってるにゃ
ひとばんじゅう「ぱそこん」をやってることもあるにゃ
どうでもいいけど、どうかにゃ~のご飯忘れないでくれにゃ

顔まっかにして叫んでるとかこわいこともあるけど
ご飯をくれるんだったら別にどうでもいいんにゃ