暴走 SCENE 1~7
この物語は完全なるフィクションであり、実在する人物・団体には一切関係ありません
:@:たけのこの里:@:
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1253942439/
346 名前:61(仮) 1/9[sage] 投稿日:2009/10/11(日) 17:14:01 ID:ZJwtbCCh
SCENE 1
SIDE K
「ちょっと、君」
なんだ、またなにかいちゃもんをつけられるのか?
身構えた俺の前に居たのは、事務局のM。
俺らのクラブが嫌いなのか、前々からなんだかんだ絡んでくるので
話しかけられないように、目を逸らしてたのに。
今日は、運が悪い。
「なんですか?」
なるべく、反抗的に聞こえないように努力して声を出す。
「君達、ネットよくやってるよね?」
まあ、SNSは色々やっている。
「やってますが、なにか?」
「ちょっと、困ったことになりそうでね。」
なんだか、歯切れが悪い。
「少し前にあったじゃない?追いコンの」
あれは、先輩達の口から自分達は潔白だと聞いている。
「あれね、事件になりそうなんだよね。
多分、ネットで色々騒がれるんじゃないかと心配なんだ」
事件?どういうことだろうか?
よく分からなくて、返事をしないままでいたら
早口で囁かれた。
「どうしたらいいか、君達ならいいアイディアがあるんじゃないかな、と。」
「はぁ」
アイディアって、急に言われても・・・
「それに、先輩達は自分達には非は無いって言ってましたよ。」
「僕もそう聞いているよ。」
やっぱり、そうだよな。
ぼんやり、思っていたら更に言葉を重ねられた。
「だから尚更ね。
まあ、なにか思いついたらアドバイスくれると嬉しいよ。」
そう、自分の言いたい事を言うとそそくさと背中を向けた。
何だったんだろう・・・
答えが出たのは、その数日後だった。
テレビでは、学長がしどろもどろになっている。
そりゃあそうだ。先輩達悪くないのに、あんな言い方されたら
かばう学長もつらいだろうな。
それにしても、酷い話だ。
なんとか、先輩達を助けてあげないと!
俺は、パソコンに向かった。
SIDE M
どうやら、雲行きが怪しい。
ことを荒立てないように運んできたはずなのに。
今までは、宥めすかしてうまくやってきたのに。
なんで、今回は上手く行かないんでしょうか。
ここ、数日がヤマのようですね。
万一に備えて、学長はじめ教員には余計な事を
公言しないように釘は刺しましたしここは、様子見ですね。
問題は学生達ですか。
しばらく、色々シミュレートしてみましたが
・・・関係者が所属していたクラブの下級生でしょうね。
「ちょっと、君」
身構えたように振り返ったのは、件のクラブのうちの一つ
特に日頃から、気に入らないクラブの学生です。
「なんですか?」
それで、おさえいてるつもりですか?
感情が丸分かりですよ。
それでも、殊勝な声音を出しましょう。
「君達、ネットよくやってるよね?」
訝しげな顔つきですね。
それはそうかも知れません。唐突でしょうし。
「やってますが、なにか?」
「ちょっと、困ったことになりそうでね。」
さらに、伏目がちに言ってみましょうか。
「少し前にあったじゃない?追いコンの」
ますます、訳が分からないという顔ですね。なんて鈍いんでしょう。
そんな、能天気な顔に苛立ちを隠して、更に続けます。
「あれね、事件になりそうなんだよね。
多分、ネットで色々騒がれるんじゃないかと心配なんだ」
「どうしたらいいか、君達ならいいアイディアがあるんじゃないかな、と。」
さあ、これで私の言いたい事が分からなかったら相当の能無しですよ。
こいつらなら、期待通りの動きをしてくれるはずなのですから。
「はぁ」
なんですか、その気のない返事は!
舌打ちしそうになるのを押さえ込みます。
「それに、先輩達は自分達には非は無いって言ってましたよ。」
そんな訳無いじゃないですか。真っ黒ですよ。
どこまでお目出度いんでしょう。ですが、ことさら穏やかに言いわないとね。
「僕もそう聞いているよ。」
そんな、あからさまに安心した顔をしなくてもいいでしょうに。
やっぱり、学生は扱い易いですね。
「だから尚更ね。
まあ、なにか思いついたらアドバイスくれると嬉しいよ。」
そう、囁くとすぐにその場を離れました。
今は、ここまでです。種まきとしては上々でしょう。
あと、2-3人、保険の為に声を掛けておきましょうか。
ことが発覚したら、彼らが勝手に動くでしょうから。
SCENE 2
SIDE K
許せなかった。
先輩達を陥れた奴が。
ニュースで見せられた、先輩達の姿に怒りで目が眩みそうだ。
許せない、許せない、許せない!!
パソコンに向かえば、事件のセンセーショナルな見出しと
学長のヘタレっぷりでもの凄い批判が飛び交っている。
なんてことだろう。
怒りに震える手で、携帯を開いた。
先輩から聞かされている「真実」を書き込んだ。
SNSにも、大型掲示板にも。
先輩達を救えるのは、俺達だけなはずだ。
少しづつ、先輩達を救うために「真実」を知る仲間達が
集まり始めているのが分かる。
他のクラブは、他大学にも「真実」を知らせているらしい。
賛同してくれる、他大学の学生の書き込みは本当に心強い。
繰り返し、「真実」を語ればいつか皆分かってくれと思うんだ。
とにかく、俺は自分に出来ることを続けようと決心した。
SIDE M
学生達はなかなかいい働きをしているようですね。
本当に単純なものです。
はっきりと、なにか指示したわけでもないのに勝手に動いてくれるなんて
察しがいいと褒めてあげてもいいでしょう。
それくらいしか使い道がないんですから、せいぜい働いてもらいましょうね。
SNSも、順調にいっているようですし。
たまに、実名が出てしまう学生がいるようですが困ったものです。
あんなところに書いているほうが悪いんですけどね。
ただ、こちらで尻拭いをしなければいけないのですから本当に迷惑な話です。
学長は思わぬ醜態を晒してくれましだが、まあ、言った通りにしてくれたようですし
顧問も指示通りの応えをしていたからよしとしましょうか。
彼ら程度の筋肉脳では、あの程度がせいぜいでしょうし。
次々掛かってくる電話は面倒ですが、とりあえずは適当にかわしておいて
静まるまで待てばいいはずです。
暫くは五月蝿いでしょうけれど、すぐに忘れら去られますよね。
それまで、頭を低くしていればいいだけのことです。
ちょっと、気に食わないですけどね。
特設電話を設けなければいけなくなったのは、予想外でしたね。
なんて、無駄な出費でしょう。無能な副学長風情が余計なことを。
ですが、それも「今後、気を付けます。」と「分かりません。」「上に伝えます。」を
適当に組み合わせて答えるように指示しましたからなんとかなるでしょう。
いえ、なんとかしていただかなくてはね。
それにしても、本当に面倒なことをしてくれたものですね。
今までの奴ら同様、大人しく泣き寝入りしていればいいものを。
SCENE 3
SIDE K
何が起こっているんだ?
なんで、クラブが活動停止になるんだ?
顧問がやめなくちゃいけないってなんなんだ!?
「真実」が証明されるまでの対外的なパフォーマンス?
納得できない。
いくら、自主トレ中に他の部員と「偶然会って一緒にトレーニングする。」
のは構わないとはいっても、これじゃ非を認めたみたいじゃないか。
先生達も分かってくれてるんじゃなかったのか?
その上、SNSから何人もが名前を晒されてしまった。
なんて、悪意に満ちた攻撃なんだろう。
そのせいで、俺達も形だけ大学から「訓告」を受けたことになっている。
部活も無期限活動停止と言われている。納得できなかった。
「すまないね。ただ、どうしょうもないんだよ。
ここで、何もしてないという事になると、それでなくてもうるさい外野が
ますますうるさくなってしまうんだ。」
あくまでも、対外的なパフォーマンスだと言う。
そう、申し訳無さそうに告げられれば飲み込むしかないじゃないか。
「君達には、色々すまないね。」
めったにないMの謝罪に少し溜飲を下げた気がしたけど。
それでも、不満は不満だろ。
ほとぼりさめたらすぐに再開させてあげるからと言われている。
「自主トレは禁止してないんだったな。自主トレ中に他の部員と
偶然会って一緒にトレーニングすることもあるんだろうなあ。」
書類に目を落としながら、独り言のように呟いた。
そうか、その手があったのか。
「あとは、構内清掃でもやってみたら心証アップするんじゃないかな?」
やっぱり、俺達のことを考えてくれてるんだとちょっと感動したぞ。
「よろしく頼むよ。」
「はいっ」
とにかく、先輩達の名誉を回復するために頑張らなければ。
SIDE M
とりあえず、問題を起こした学生達の所属する部は活動停止にしてみました。
これで、少しはやり過ごせるでしょう。
学生たちの尻拭いなどしたくないのに。
なんでもう少し上手く出来ないんでしょうね。
よりによって、実名まで公開しているSNSで堂々と書き込むなんて。
まさか、ここまで浅はかだとは・・・まあ、少々思っていましたかね。
予測していた以上に学生達が先鋭化してきているのか、お馬鹿さんなのか。
それにつれて、電話も増えてきて面倒極まりないですね。
・・・そろそろ、ガス抜きをするべきかもしれません。世間に向けて。
とりあえず、名指しで苦情がきているものを「訓告」処分にしておきましょう。
本人達は不満そうですが仕方のないことです。
一個人より、組織の方が大事なんですよ。あしからず。
それでも、
「すまないね。ただ、どうしょうもないんだよ。
ここで、何もしてないという事になると、それでなくてもうるさい外野が
ますますうるさくなってしまうんだ。」
殊更、申し訳無さそうな言い方をしてみるとするか。業腹だがこの際だ。
「君達には、色々すまないね。」
殊勝ぶってみるのも悪くないでしょう。減るものでもありませんしね。
まだ、不服そうな態度は気に入りませんがまだまだ働いていただかないと。
そういえば、と書類を確認するフリをしながら彼らに言い聞かせるように呟いてみましたよ。
「自主トレは禁止してないんだったな。自主トレ中に他の部員と
偶然会って一緒にトレーニングすることもあるんだろうなあ。」
よしよし。顔色が変わりましたね。もう一押ししておきましょうか。
「あとは、構内清掃でもやってみたら心証アップするんじゃないかな?」
ふっ、そんなにあからさまに感激したような顔をしなくてもいいのに。
「よろしく頼むよ。」
「はいっ」
威勢のいいお返事だこと。これだから体育会系は暑苦しくていけませんね。
そんな、嫌悪感を押さえ込んで彼らを送り出しましながら、次の手を算段しました。
SCENE 4
SIDE K
俺達の言ったことを信じてくれたはずの他校の学生が次々に謝罪をしている。
俺達も「訓告」を受けたけれど、訂正しろとか謝罪しろなんて言われていない。
なんで、勝手に「真実」を仲間を庇うためのデマだということにしてしまうんだ?
なにか、圧力が掛かったんだろうか?
そういえば、大学にも電話が掛かってきているようだし彼奴らの大学も
その被害を受けたのかもしれないな。
よその大学は、所詮他人事なんだろう。世間体が大事なんだろう。
一般受けする形で済ませたんだろうが、俺達の大学はそうはいかない。
みんなが「真実」を分かってくれるまで俺たちは伝え続けるんだ。
先輩達だって、否定している。
警察もちゃんと分かってくれるはずだ。
がんばれ、負けるな!俺達もがんばりますから。
このところ、俺の名前があちこちで書かれるようになってきた。
正直、ショックだ。
とにかく、プロフを書き換えなければ。
SIDE M
ちょっと、学生の動きが派手ですね。
他校の学生にも広めているのはいいんだか、わるいんだか。
どうも、加減を知らないみたいで少々不安になってきました。
どうも、他所の大学のお嬢さんは「法に訴えかけるなんて・・・」と
いいつつ、ご自分は弁護士さんに泣きついておいでのようですし。
親御さんも弁護士さんにお願いする前に、お子さんの躾をなさったら
どうなんでしょうね。
まあ、子は親の鑑といいますしね。
馬鹿なことをする子供の親は、そんなものなんでしょうね。
まあ、教師が良識があるかといえば・・・言ってもしょうがありませんね。
うちの教授連をみたって、あんなものですからねぇ。
今回の学生達の親も、ねえ。
こんなので、教育大学だなんてと苦情の電話が入ってますけど
こんな大学に来ている時点で、落ちこぼれに決まっているじゃないですか。
まあ、私は自分の職の確保が第一ですからそんな瑣末事どうでもいいんですけどね。
それにしても、前もって卒業生に連絡をとっておいてよかったですね。
暴走しすぎた学生のストッパーになってもらうように根回し済みです。
これから、少々事態が動きますからね。
やはり、私には先見の明があるようです。
SCENE 5
SIDE K
弁護士が無実の事件だと言ってくれた!
当たり前だ。
これで世間の何も知らない奴らも、大人しくなるだろう。
俺の名前や写真が出てるからって、怯むことはないはずだ。
だって、俺たちは間違ったことはしていないんだから。
こんなことで、退いたりなんかしてたまるか。
これは、先輩達だけじゃなく俺達の大学を守るためでもあるんだから。
学内でも先輩達の事を信じなくなってきた奴らも出てきているらしい。
必ず、だれかがフォロー入れてくれてるらしいからいいけど。
多分、月曜日には無罪放免になるっていうウワサだし。
そうしたら、大学に戻ってこられる。
楽しみでしょうがないぜ。
SIDE M
無実の事件、って。
いくらなんでも、ああ言い切ってしまうのはどうなんでしょう。
どうやら、示談も上手く行きそうだという事ですしよろしいんでしょうかね。
無実って訳じゃないですしねぇ、どう考えても言いすぎな気はしますが
弁護士さんのなさることに口を挟むこともできませんしね。
大学から犯罪者が出なくて助かりましたが、これで退学させるという
大義名分が無くなってしまって、痛し痒しというところでしょうか。
自主退学をお勧めしようとは思いますが、親御さんたちが一筋縄では
行きそうもありませんし、どうしたものでしょうね。
ネットで頑張ってくれていた学生さんたちもそろそろお休みして頂きませんとね。
こちらが沈黙していれば、案外収束は早いはずです。
訓告した卒業生で講師になった子は、辞職してますから仕方ないとして
教員採用された子は、勤務先がバレないといいんですけどね。
そんなに多くない卒業生のうちの「教員採用 1」は貴重ですからね。
SCENE 6
SIDE K
先輩達が「嫌疑不十分で不起訴」になって釈放されたのに
未だに、「起訴猶予での不起訴」だと言う奴らがまだいる。
二言目には、通報だの電凸だの。勝手にすればいいじゃないか。
それに、卒業前に訓告を受けてた先輩の勤務校がバレてしまった。
仲のいい先輩だから晒されているのが辛い。
せっかく、なりたかった教師になったのにかわいそう過ぎる。
俺が目立てば、矛先をこっちに向けられるだろうか。
ただ、俺達への反論を見ているとなんとなく不安を覚えるようになってきた。
なんなんだろう。なんだか、自分が間違っているような気になることがある。
もう少しで分かるような気もするけど。
いや、今はそんなことを悠長に考えているときではないよな。
そんなきもちには、とりあえず蓋をしてやらなければいけないことをやろう。
引き続き、せっせと書き込みを続けなければ。
SIDE M
嫌な予感は当ってしまいましたね。
テレビに学校がぼんやり映っただけなのに、よくも見つけたものですねえ。
感心してしまいましたよ。
でも、もううちの学生じゃないですからどうでもいいんですけどね。
それよりも、どうも起訴猶予というのがうちの学生には分からないようですね。
まあ、判りたくないのかも知れませんけれども。
これ以上暴れられると、せっかくの示談が破棄になってしましますからね。
そろそろ、退場していただきましょうね。
前回は、運悪く名前が出てしまった学生に何人か泥を被ってもらいましたが
今回はどうしましょうかね。
一人くらい、停学にでもしておかないとカッコつかないかも知れませんしね。
あの中から、ひとり生贄になってもらえば「学生が勝手にしたこと」で
なんとかなるでしょうか。
ええ、そうしましょう。
マスコミにも情報を流して、うちはちゃんとやってますというところを
しっかり見せておきましょうね。
SCENE 6
SIDE K
なぜ、先輩達の停学が解けないんだ?
推定無罪なんだし、学校に戻ってきてもいいんじゃないだろうか?
クラブの活動停止もそのままだし、なんかおかしい。
俺は、思い切って事務局を訪ねた。
「これは、いいところに来たね。」
なんだか、機嫌良さそうに招き入れられた。
「ところで、君はまだネットに書き込みしているのかい?」
なんだか、世間話のような軽い調子で聞いてくる。
俺達がどれだけ頑張っていると思ってるんだ。
あんたにも、頼まれたからじゃないか。
ムッとしながらも
「ええ、やっていますが。それよりも、お聞きしたいことがあるんですが。」
そう答えた。
こっちは、聞きたいことがあるんだよ!
なのに、そんな俺を無視して奴は言った。
「書いていたんだね。そうか・・・」
そんなことどうでもいいじゃないか。
「先輩達の停学の事なんですけど」
俺が聞いているのに無視したように言ってきた。
「困るよ、訓告をどう受け止めてていたんだね?」
え?なにを言っているんだ?よろしくって言ったのはそっちだろうが。
「な・・・っ!?」
驚いて、声が出ない。頭が真っ白になった。
「ネットに書くなって、副学長がホームページに書いていましたよね。
読んでいないんですか?」
そのMの空々しい言い方が頭にきて、俺は怒鳴った。
「でも、あんたがネットに書けって!」
「私がいつ、そんなことを頼みましたか?」
そう、平然と答えやがった。
「ああ、そうそう彼らね。釈放されたとは行っても前科持ちだからね。
自分達からやめてくれるとありがたいんだけどねぇ。」
「だって・・・先輩達は悪くないって」
ようやく、それだけ搾り出した。
「それは、本人達の言い分でしょ。
性犯罪者はみんなそう言うでしょうが。
まさか君、信じてたなんて言うんじゃないだろうね?」
なにを言っているんだか分からない。
困惑する俺に、畳み掛けてきた。
「君、6ヶ月の停学だから」
SIDE M
さて、誰に犠牲になってもらいましょうか・・・。
思案していたるところに、ちょうどいい学生が飛び込んできました。
「これは、いいところに来たね。」
私は、運もいいようですね。
先刻までの鬱々とした気分が、すっきりしました。
「ところで、君はまだネットに書き込みしているのかい?」
いつも以上ににこやかになるのが止められません。
「ええ、やっていますが。それよりも、お聞きしたいことがあるんですが。」
おやおや、そんな不機嫌な顔をしないで下さいよ。
せっかくのいい気分が、台無しじゃないですか。
まあ、そちらの機嫌なんてどうでもいいんですけどね。
「書いていたんだね。そうか・・・」
ちょっと、勿体をつけてみましょう。
「先輩達の停学の事なんですけど」
ひとが、折角間を取っているのになんて無粋なんでしょう。
それならば、こちらも負けてはいられませんね。
「困るよ、訓告をどう受け止めてていたんだね?」
「な・・・っ!?」
驚いてますね。さあ、ここで畳み掛けておくのは大事ですよね。
「ネットに書くなって、副学長がホームページに書いていましたよね。
読んでいないんですか?」
「でも、あんたがネットに書けって!」
ああ、野蛮な。
なんで、二人しかいないのにそんな大声を出すんでしょうね。
でも、大事なことなのではっきり言っておかなければなりませんよね。
「私がいつ、そんなことを頼みましたか?」
そうそう、そうやって大人しくしていればいいんですよ。
ちょっと、顔色が悪いようですけど、まあ、体育会の人は丈夫だから
心配ないでしょう。
あ、あの困った連中のことですね。
教えておいてあげますよ。別に隠すほどの事でもありませんしね。
「ああ、そうそう彼らね。釈放されたとは行っても前科持ちだからね。
自分達からやめてくれるとありがたいんだけどねぇ。」
「だって・・・先輩達は悪くないって」
ええっ?言うにことかいてそれですか?
なにを今更なことを言っているんでしょうか?
彼らのせいで我々がこれだけ迷惑しているのに、
非は無いなんてありえないでしょう!?
冷静にいえたでしょうか?
「それは、本人達の言い分でしょ。
性犯罪者はみんなそう言うでしょうが。
まさか君、信じてたなんて言うんじゃないだろうね?」
ああ、肝心なことを言い忘れていましたね。
「君、6ヶ月の停学だから」