昔話

これらの作品は完全なるフィクションであり、実在する人物・団体には一切関係ありません


「浦島太郎」 → 「たけのこたろう」                                                       作:お伽草子先生


589 名前:たけのこたろう 前編[sage] 投稿日:2009/08/24(月) 21:10:32 ID:cBiM3+fc


昔々、たけのこ太郎という男がおりました。たけのこ太郎の父親はお金持ちだったので、太郎は毎日遊んで暮らしておりました。


ある日太郎がいつものようにふらふらと歩いていると、大きな亀が海辺に打ち上げられ、子供達に虐められているのが目に入りました。太郎はそれを見ると「あの甲羅で櫛や簪を作って遊女達にプレゼントしたら、どんなにモテるだろう」と考え、亀を横取りすることにしました。


近付いてみると子供達は6人いました。2人は亀を押さえ、4人が棒で叩いています。


(そんな事をしたら甲羅に傷が付くではないか)と思いましたが


「これこれ、おまいたち、亀を虐めては可哀相じゃないか。」と、もっともらしい言い訳で子供達の棒を取り上げました。


「へん、おいらが見つけたんだからどうしようと勝手だろ」


遠くから見た時は子供だから楽勝だと思っていましたが、近くで見ると腕力もありそうで、しかも6人です。力では敵わないと思った太郎は、いつもの手段をとることにしました。


「おい、誰に向かって言ってんだよ。とうちゃんに言い付けるぞ」


太郎は、それを言うといつも思い通りになると知っていたのです。


子供達は太郎をしげしげと眺めました。そして太郎に気付くと


「やばい、たけのこ太郎だ」


「しかたない、諦めるか」


「くそ、覚えてろよー」


口々に捨て台詞を吐き逃げ出しました。


「わはは、口ほどにもない奴らめ」


太郎は勝利に酔いながら亀に近付きました。そしてこの甲羅で櫛や簪が幾つ作れるだろうと眺めていると、亀は恐々と甲羅から頭を出しました。


「あにさん、おおきに。おかげで助かりましたわ。このご恩は忘れまへん」


亀の目には涙が浮かんでいます。


「うちはクニ言います。以後よろしゅう。あにさんを師匠と呼ばせてもらいます。御礼にいい所に案内しますわ」


「なに!いい所とな」


「へえ、海の底にお城がありますのや」


「ほほう、お城ならお姫様もいるのかな?」


「まぁ、姫さんもいますけど、そんな女なんて不粋なことより楽しいことありまっせ」


「そうだな、高見遊山と洒落込むか」


こうして太郎は鼻の下を伸ばし、海の底にあるというお城に行くことになりました。


590 名前:たけのこたろう 中編[sage] 投稿日:2009/08/24(月) 21:11:53 ID:cBiM3+fc
「ほな師匠は甲羅に跨がって下さい。落ちないように、股間を甲羅に押し付けて」
太郎が跨がると、クニはゆっくり海の中に入って行きました。
「師匠、甲羅に股間をもっと強く押し付けて」
時折クニが催促します。言われて太郎が股間を押し付けると
「あぁん、あぁん」
とクニが喘ぐような声を上げますが、お姫様しか頭にない太郎の耳には入りません。
しばらく進んで行くと、焼却炉のような建物が見えました。看板には『京レ城』と書いてあります。
「さあ師匠、着きましたで」
城に着くとクニは太郎を降ろし、城の中に入って行きました。
「姫さま~、客人をお連れしました~」
クニが大声で叫ぶと、中から巨大な人影が現れました。
「これクニ、騒々しいですよ。何事ですか」
「ぶさ姫様、こちらはたけのこ太郎はんどす。ガキどもに虐められていたところを助けてくれたんや。いや~、男の中の男ですわ」
「おぉぉ、それはそれは。クニがお世話になりました。御礼の宴を開きましょう。さあ、中へどうぞ」
ぶさ姫はでっぷりとした肉厚の腕で、太郎の身体を掴みました。太郎はぶさ姫の姿を見た途端、城に来たことを後悔していたのですが、ぶさ姫とクニに両側から挟まれて逃げられず、仕方なく中に入りました。
「師匠、うちにはいい踊り子がいまっせ。まずはナンバーワンの舞々嬢や」
そう言うと、舞台に一人の踊り子が現れ踊り始めました。
舞々嬢の踊りは、ナンバーワンといっても所詮は素人芸。毎晩芸者衆の踊りを見て目が肥えている太郎の鑑賞に耐えるものではなく、太郎は退屈でなりません。
そのうえ両側からぶさ姫とクニが身体を押し付け、熱い視線で太郎を見つめています。太郎は次第に息苦しくなりました。


591 名前:たけのこたろう 後編[sage] 投稿日:2009/08/24(月) 21:13:11 ID:cBiM3+fc
「おや、太郎殿。如何なされました?顔色が優れませぬ。頭痛が痛いのですか?」
ぶさ姫が太郎の浮かない表情に気付きました。
「それでは、わらわが踊りましょう」
ぶさ姫がステージに向かうと、クニがなぜか慌てています。
「ぶさ姫様、そ、それは…」
「クニ、どうかしましたか?太郎殿もわらわの舞を見れば、きっとわらわの虜になり…、あいや、楽しいまれるでしょう。99.99%間違いありません」
そう言うと、ゆさゆさと身体を振り始めました。
ぶさ姫は腰をくねらせたりウインクしたり、必死で太郎の気を引こうとするのですが、不気味な笑顔や震える贅肉を見ていると、太郎は益々気分が悪くなりました。
太郎が一向になびこうとしない様子に、ぶさ姫の踊りはもっとパワフルになりました。腕を振り回し、何度もターンを繰り返します。
あまりに激しい動きに、辺りの海水もグルグル回転しています。そしてその渦は太郎にまで迫り、とうとう太郎を飲み込んでしまいました。
「うわあー!」
太郎は渦に巻き込まれグルグル回っています。
「あっ!師匠、おいらを置いて行かないで」
クニは急いで太郎に近付き、捲れた腰蓑から除いていた太郎のたけのこに喰い付きました。
ぶさ姫は自分の踊りに陶酔しているので気付きません。それどころか踊りは激しくなる一方です。城全体が巨大な洗濯機となり、太郎と太郎に喰い付いているクニは、渦に巻かれ飛ばされてしまいました。

気が付くと太郎とクニは海辺に打ち上げられていました。
「師匠、気が付かれましたか」
「いやはや、ひどい目にあった」
「ぶさ姫はんは、男の前では力が入ってしまうんや。勘弁したってな」
「いてて」
クニに喰い付かれたたけのこを見ると、腫れて心持ち大きくなっていて、太郎はちょっぴり嬉しくなったのですが、同時に疑問も湧きました。
「クニ、おまいはもしかしてスッポンなのか?」
「いやぁ、バレましたか。師匠は流石でんな。でもスッポンといっても父方の祖母は亀でしたから、いわゆるクォーターちゅうやつですわ」
「・・・」
疲れ果てた太郎はゆっくりと立ち上がり歩き始めました。
「師匠、おいらは一生師匠に付いて行きます」
クニも太郎の後を追いました。
(スッポンか…、明日はこいつをスープにして精力をつけ、飛田に繰り出すかな)
クニと並んで歩きながら、太郎はそんな事を考えていました。
                 おしまい



592 名前:補足[sage] 投稿日:2009/08/24(月) 21:14:57 ID:cBiM3+fc
大人のお伽話のつもりです。
昨夜の踊り子さんを見て思いつきました。
関東人なので、おかしな関西弁があったら許して下さい。
ちなみに、ぶさ姫の踊りは↓のイメージでした。

https://www.youtube.com/watch?v=PfQLvpJiB1c



舌切りぶさめ            作:お伽草子先生


【お肉壺】QB師匠の窪みを語るスレ【股間が竹の子】 5
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/aniki/1251558045/

758 名前:お伽草子 ◆NhDiiXmp8. [sage] 投稿日:2009/09/07(月) 23:32:55 ID:uQsK1SAD


昔々、あるところに意地悪なおばあさんがおりました。
おばあさんはとても貧しかったので、家庭菜園で自給自足の生活をしていました。
ある日、大切な家庭菜園を雀が荒らしているのを見つけたおばあさんは、怒って雀を捕まえ舌を切ってしまいました。
おばあさんは友達も才能もなく、楽しい事が何もありません。
面白くないことがあるたびに
「ああ、こんなになったのは回りの人が悪いんだ、世間が悪いんだ」
と言って雀をいじめました。
ある日、虐待に耐えかねた雀は隙を見ておばあさんから逃げ出しました。逃げる雀を見たおばあさんは、慌てて雀を追いかけました。
自分の住み処に逃げ込んだ雀の後の追い、おばあさんも雀の国に入りました。
雀の国では、たくさんの雀が楽しそうに話したり踊ったりしています。おばあさんは、自分も仲間に入りたくなり、そーっと近寄り話に加わりました。
優しい雀達は喜んでおばあさんを迎入れ、楽しくお喋りをします。
舌を切られた雀はおばあさんに気が付きましたが、舌を切られているので仲間に教えてあげる事が出来ません。
久しぶりにお喋りを楽しんだおばあさんは、楽しそうに踊っている雀を見ると自分も踊りたくなり、踊り出しました。
踊り始めると楽しくてたまりません。夢中で踊り続けました。
下手くそなおばあさんの踊りに雀達は呆れていますが、おばあさんは気付きません。おばあさんがいつまでも踊りをやめないので、業を煮やした雀が
「出てけ」
と戒めますが、おばあさんはそれでも踊りを止めません。いつまでも踊り続けます。一人で踊って踊って踊って…
おばあさんはとうとう雀達から追い出されてしまいました。
それからおばあさんは一人きりで淋しく暮らしましたとさ。
おしまい



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